大沼紀子「路地裏のホタル食堂 二人の秘密」

 

真夜中のパン屋さん」の大沼紀子さんのホタル食堂の第2弾です。

 

記憶喪失で強面のホタル食堂店主の神宗吾と高校生の鈴井遥太が自分たちの持つ不思議な力に導かれて、さまざまな出来事に捲き込まれていきます。

 

今回は遥太が冬休みを利用して岐阜から上京し、神の家に居候するところから物語は始まります。

 

ふとしたことからアイドルの失踪事件に関わり、それを解決した二人は、常連客である日向子や苫子、またいなくなった居酒屋店主、倉持翔平なども関わる、さらにきな臭い失踪事件に捲き込まれていきます。

 

見るからに怪しい連中に絡まれたり、果ては拘束されたりしてハラハラしますが、神の失われた過去に関わるような意外な一面が見れたりと今回も楽しめます。

 

実は神と遥太の二人は、共通した不思議な能力を持っています。それは料理を食べると作り手の思念や過去が見える、というものです。

 

しかしこの不思議な能力に対しての二人の考え方は全く異なります。

 

とにかく他人の作ったものは一切口にせず、ひたすらこの能力を隠し通そうとする神に対し、遥太は能力を使って何とか人の役に立ちたいという態度を貫きます。

 

その思いには幼少期をともに過ごした祖父への思いもあり、さらにその思いはさらにおにぎり占い??という珍妙なアイデアまで生み出します。

 

神はどちらかというと遥太の強い思いや唐突な行動に引っ張られて、事件に関わっていきます。だからいつもちょっと呆れ気味、というかキレ気味です笑

 

でもそんな二人の正反対なところが面白く、そこがこの作品の見所ともなっています(^-^)

 

「真夜パン」の時にも思ったのですが、大沼さんは本当に食べ物の描写がうまくて、神の屋台で作った料理が本当に食べたくなります。

 

たこ焼きや雑煮、もつ煮込み丼などなど…遥太がまたそれらをおいしそうに食べるので読んでいるとお腹が空いてきます。(^-^;

 

最後の章に登場するチキン南蛮もおいしそうですよ♪

あと日向子と倉持翔平のエピソードが結構泣けます(TT)

 

私は、過去に何があっても、人生はどこからでもやり直せると信じたいと思いました。

 

ラストは神と遥太の今後を予感させるような終り方だったので、また続編が出るのが今から楽しみです(^-^)

評価☆☆☆☆