西加奈子「おまじない」
8つの短編が収められた作品集です。
西さんが書き下ろした挿絵がとてもすばらしく、読み終えた後も手元に置いておきたくなります。
8つの短編にはそれぞれ小学生から40代までの女性が登場します。
私の個人的な印象ですが、どの作品の女性も、まるで少女のようだなと感じました。
少女特有の強さと弱さ、脆さと堅固さを持った彼女らには、何だかどこかで会ったことがあるような親しみを覚えます。
またあまり出番は多くありませんが、脇役(?)である男性達も印象深い人ばかりです。
「燃やす」に登場する焼却炉のおじさん、「いちご」に登場する浮ちゃん、「ドラゴン・スープレックス」のおっさん、「あねご」のモリさんなど等、インパクトがあり、そしてどこか懐かしいような人達がたくさん登場します。
一番印象に残ったのは、やはり「ドラゴン・スープレックス」という作品でしょうか。
ママのママ、そしてママが近くにいながらもひいばあちゃんと暮らしているジュエルという女の子が登場します。
かなり複雑な家庭環境ですが、そこに暗さはなく、むしろ一歩引いた俯瞰的な目で自分の置かれている状況を見ているのが、何だかユーモラスで面白いと感じました。
女性は年齢を重ねるごとに少女返りしていくのかな、と思ってしまいました。
評価☆☆☆