小川糸「ミトン」


ミ・ト・ン (MOE BOOKS)

ルップマイゼ共和国に生まれた少女マリカの波乱に満ちた生涯を描いた作品です。この国の女性達は一生の間に数えきれないほどたくさんのミトンを編みます。と言うより子供の頃にミトンを編む試験があり、その試験に合格しなければ、この国でずっと生きていくことはできないのです。

マリカは三人兄妹の末っ子で、ミトンを編むより外で元気に遊び回る方が大好きな、とても活発な女の子でした。そんなマリカも少女から大人の女性に近づくにつれ、やがて自らミトンを編んであげたいと思う相手と出会います。

幸せで満たされた生活を送っていたマイカでしたが、ルップンマイゼ共和国が氷の帝国に支配され、そのことが日々の生活に暗い影を落とします。しかしマイカはどんな境遇におかれてもいつも明るく前向きに生きようとします。

人の幸せは千差万別で一概にには言えませんが、それでも私はマイカはとても幸せな人生を送ったと思います。なんだかとても羨ましくさえなります。まるで絵本のようなすてきな物語なので、ひとりでも多くの方に読んでいただきたいと思う作品です(^^)



平澤まりこさんの版画がとてもきれいで、眺めているだけで幸せな気持ちになれます。また装丁がとても素敵で本を読み終えた後でも手元に置いておきたくなります
評価⭐️⭐️⭐️⭐️