森沢明夫「エミリの小さな包丁」


エミリの小さな包丁

恋人に裏切られ、仕事も住む場所も全て失ったエミリは、10年以上交流のなかった一人暮らしの祖父の元に転がり込みます。
風鈴作りを仕事とし、無口で淡々と包丁を研ぎ、料理をする祖父を手伝ううちに、人間不振に陥っていたエミリの心にも変化が訪れます。

食に対する真摯な姿勢、人との付き合い、様々な物事に関する考え方、、祖父と生活を共にするうちに、日常の中にあるささやかだけど大切なものの存在に気づいていきます。

良い波が来ると仕事そっちのけでサーフィンに出かけてしまう喫茶店のマスターや明るくお調子者の漁師など、魅力的な人物に囲まれている祖父の生活は、特別大きな事件は起こりませんが、何だか穏やかで羨ましくなってしまいます。

それに何と言っても祖父が作る料理がシンプルだけどどれもとても美味しそうです。

森沢氏の作品に出てくる料理はとても美味しそうで読んでいてお腹が空いてしまいます。やっぱり究極のメニューは「ヒカルの卵」に登場する卵かけご飯でしょうか。

思い出したら、また食べたくなってきました(^_^;)