森博嗣「フォグ・ハイダ」


フォグ・ハイダ - The Fog Hider (中公文庫)

ヴォイト・シェイパシリーズの四作目です。
旅の途中、ゼンは山中で盗賊に襲われ、盗賊の用心棒である侍と刀を交えます。相手の強さに死を覚悟しますが、辛うじてその場を逃れます。その侍の言動が気になったゼンは、言葉の真意を探ろうと侍の居所を探し始めます。


実は侍には執拗に命を狙われる理由があり、侍と再会したゼンはその侍が命を狙われていると知り、侍と重い病を患うその妻を匿います。

追っ手に追い詰められたゼンは仲間と共に立ち向かいますが、、



ゼンはいつも思慮深く、物事を深く考えている人です。誰にでもやさしく礼儀正しいので、時々「侍らしくない」「変わっている」と言われてしまいます。でも私はそんなゼンの不器用な優しさがとても好きです。

ゼンの侍らしくない所は、闘うことをけして好まず、逃げることを正しいと思っていることにも表れています。しかしゼンの強さが闘いを引き寄せ、否応なしにそれに巻き込まれていきます。

ゼンの持っている品格は、やはりその出自にも関係しているのかな、と思いました。