森博嗣「スカル・ブレーカ」


スカル・ブレーカ - The Skull Breaker (中公文庫)

ヴォイト・シェイパシリーズの三作目です。城下町にたどり着いたゼンはそこで侍同士の喧嘩に関わった事から城へ連行され、武芸試合に出る事になります。この一件で出会ったヤナギという不思議な強さを持った侍との邂逅が、剣に対するゼンの思いを変えていきます。

また宿泊した宿屋で事件に巻き込まれたゼンは、城の役人によってその宿が不当に乗っ取られようとされているのを知ります。何とかそれを止めようとしたゼンは不本意ながらも再び争いに巻き込まれていきます。

その後殿様の姉であるククからの手紙によりゼンは、瑞香院である人物と出逢います。あまりネタバレしたくはありませんが、その人物はゼンにとってかなり重要な人物のようです。

このシリーズに登場する侍たちは剣の強さに対してそれぞれが哲学的な考えを持っていて、その考えが今を生きる私達の人生にも共通する部分があり大変興味深いです。

私が一番好きなのは、ゼンが子供と一緒にいる場面です。けして子供扱いせず、対等な一人の人間として接している所に、ゼンの真摯な姿が垣間見えます。