獅子文六「信子」
信子 (朝日文庫)
主人公は教師を目指している信子という女性です。信子は新人教師としで、郷里の大分から離れ、東京の大都女学校に赴任することになります。
女学校ということもあり、そこには
学校を二分する校長と教頭の派閥があったり勢力争いがあったりと、かなり人間関係は複雑です。
また女生徒達も一筋縄ではいかない面々ばかりです。どちらかというと熱血漢の体育教師である信子に、反抗してみせたり、また嫌がらせを仕掛けてきます。
教師の仕事だけでなく、何故か女子寮の寮母を引き受けてしまって信子は、わがままな生徒達にますます振り回されてしまいます
しまいには学校の移転問題を巡り、学校の存続すら危ぶまれてきますが、、
獅子文六氏は夏目漱石のファンだったようで、この作品は夏目の代表作「坊っちゃん」へのオマージュとして書かれた作品です。
とはいっても「坊っちゃん」を読んだことがなくても、充分に楽しめる作品です。
信子の度胸の良さや、生徒や周りの人々に対する真摯な態度や言動には好感をもちました。
最後の展開はちょっと意外でしたが、信子らしい潔い決断に胸がすっとしました。
獅子文六らしい、ユーモアに溢れた作品ですので、ぜひ一度読んでみてくださいね
評価⭐️⭐️⭐️⭐️