森沢明夫「たまちゃんのおつかい便」


たまちゃんのおつかい便

過疎化と高齢化が深刻化に伴い、現実でも買い物弱者の問題がクローズアップされています。

そんな買い物弱者を救うため、 大学を中退した主人公のたまちゃんは、中古トラックを買い取り、移動販売の「おつかい便」をはじめます。 

移動販売の先輩からノウハウを学び、幼馴染みに励まされながらも不安を抱えながら始めたおつかい便ですが、その笑顔と明るさで徐々にお年寄り達に受け入れられていきます。

しかし仕事に慣れてくるにつれ、それぞれの人が抱える悩みや問題が垣間見えてきます。救いきれない独居老人、一人暮しができなくなり、生まれ育った地を離れなければならないお年寄りなど。

しかも実はいつも明るいたまちゃんも、父を亡くし、二人で暮らす義母の シャーリーンとの関係に鬱屈した思いを抱えていたりします。

人は一人では生きていけません。しかし人と関わりながら生きていくのもまた大変です。

森沢氏の作品はそんな問題を浮き彫りにしながらも最後には必ず希望が見える結末を用意しています。

そんな森沢氏の作品が、私はとても好きです。

評価☆☆☆