獅子文六「娘と私」
獅子文六の代表作とも言える作品で、自身の体験が反映された私小説のような作品です。
主人公である私は留学先のフランスで出会ったフランス人の女性と結婚し、やがて二人揃って帰国します。
娘をもうけたもののフランス人の妻は日本での生活が合わず、身体を壊してしまい娘を残し一人フランスに戻ってしまいます。
のちに妻は亡くなり、娘と私二人の生活が始まりますが…
当時の私はまだ収入が少なく、二人にとって厳しい生活が続きます。
娘は寄宿舎に入り、私はやっと生活のために仕事に専念できると安心しますが、娘は病弱で何度も入院し、一度は深刻な命の危機に見舞われます。
娘の体調も徐々に安定し、生活の基盤も整いつつある頃、私は娘を育ててくれる女性を求め、見合いの末再婚します。
「娘と私」では娘と父親の関係、娘と継母の関係、私と妻の夫婦の関係などがとてもユニークに描かれています。
途中戦局が悪化し、空襲で家を失ったり、伊豆に疎開したりします。
また戦後も、戦中に書いた小説説のために投獄されそうになったりしますが、それでも作品全体が暗くならないのは、やはり獅子文六の作品らしいなと思ってしまいます。
長編ですが面白いのであっという間に読み終えてしまいます。
獅子文六の作品をこれから読みたいと思っている方にもおすすめです(^^)
評価⭐️⭐️⭐️⭐️