獅子文六「コーヒーと恋愛」


コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

脇役専門のテレビ女優、坂井モエコとそれを取り巻く人々の日常が描かれたこの作品は、昭和30年代に新聞連載されていたものです。

モヨコが演出家の卵の同棲相手に逃げられたり、「可否道」というコーヒーを極めるために作られた一風変わった会に参加してみたり、またその仲間のひとりと
結婚話が持ち上がってみたり、、というエピソードがユーモラスに語られています。

時代背景が今とは全く違うし、何か大事
件が起こる訳でもありません。ですが
登場人物ひとりひとりが生き生きとしていて、しかも変り者でクセの強い人が多く、最後まで楽しんで読めます。

本の題名には恋愛と書かれていますが、そういう甘い感じはなく、ドタバタ喜劇というかユーモア小説というか、とにかく暗さは微塵もなく、獅子文六の作品らしい明るく楽しい作品でした。

去年からなぜか獅子文六の作品にはまり、ここ数年復刊された文庫を何冊か読
みました。

自分が生まれるずっと前に書かれた作品ですし、時代背景も生活習慣も全く違うのに、どうしてこんなに面白いのだろうといつも感心してしまいます。

と同時に人って今みたいにネットやスマホがない時代の方が楽しく暮らせていたんじゃないかなあ、とちょっと思ってしまいました。

獅子文六の作品はどれも面白くておすすめなのですか、その良さを伝えるのが難しいです(^_^;)これから少しづつ紹介できたらなと思います。
評価⭐️⭐️⭐️⭐️