吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」
「月船町シリーズ」の2作目です。
今回の舞台は「トワロ」という名前のサンドイッチ屋さんです。
その店にふとしたきっかけから勤め始めた「僕」が主人公となっています。
店主の安藤さんの作るシンプルだけどスープとサンドイッチがとても美味しそうで、読んでいるとぜひこの店に行きたくなりました。
安藤さんの息子のリツくんや大家のマダムとのやり取りも心が温かくなりとても好きです。
「僕」は月船シネマで古い映画を見ることを趣味にしています。
彼は主役の女性ではなく、脇役の少ししか出ていない女性に恋をしてしまいます。
叶わない恋とはわかっていても、応援してあげたいと思ってしまいました。
特別に何か起こらなくても、日常の中のささやかな幸せを見つければ毎日穏やかな気持ちで暮らせるんだな、ということに気づかせてくれた作品でした。
シリーズものですが、この作品から読んでも十分楽しめます。
評価☆☆☆